「少年と犬」を読んで

 傷つき悩む人びとと、彼らに寄り添う犬を描く感涙作!

この本の帯、(寄り添う)という事とはどういうことなのか。

どう表現されているのか。それが知りたくて、この本を手にしました。

作者は、馳星周

 一匹の犬、「多聞(たもん)」が、男、泥棒、夫婦、娼婦、老人、少年

と出会い、それぞれの現状のなかで触れ合いながら旅を続け

最後に会いたかった少年のもとへたどり着き、死んでいく物語です。

太ももに顎をのせたり、散歩のとき飼い主の歩調に合わせる。

言葉はなくても、気持ちが通じ合う。それが、寄り添うことだと

感じました。

 多聞は、旅を続けるとき少年のいる方向を、常に感じ取り

そこを見つめます。出会った誰もが、言葉も発しない犬の気持ちを

知り「そうか、その方向に飼い主がいるんだな」といって

多聞を見送ります。少年にたどり着くまで、さまざまなドラマが

ありますが、なぜ少年に会いたかったのかを知った時、

この本の魅力を実感しました。結構単純です。そこがいい。

興味があったら読んでみてください。

2023.3.31 すいか

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